租税条約について

租税条約とは、条約ごとに呼称が異なりますが、「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府と○○政府との間の条約」などの正式名称があります。名称の通り、租税条約とは、日本とどこかの国との“二国間“で、二重課税の排除と、脱税や租税回避を防止するために行われる取り決めになります。複数の国で集まって統一されたルールを決めるというものではないため、取り決めをする一カ国との間だけのルールとなります。よって日本が締結している租税条約でも、相手国によって内容が異なっており、またそもそも租税条約を日本と締結していない国もあります。日本が租税条約を締結していないと、二重課税の回避の項で説明した、租税条約による二重課税排除の仕組みは適用されないことになります。

租税条約により二重課税が排除される仕組みとしては、各種所得のそれぞれについて、どちらの国が課税する権利を持っているかの取り決め、または両者が課税できるとした場合のそれぞれの課税割合についての取り決め、を行うことにより、同じ所得に対して双方の国から課税されることを防ぐというものになります。

なお、租税条約の取り決め内容は、対象となる取引を行ったときに自動で適用されるわけではなく、租税条約に関する届出書の提出が必要となることに留意が必要です。また租税条約の規定を適用した結果、海外における源泉税率が低くなったとしても、海外において源泉税の支払いをしていることには変わらないため、海外で納めた税金につき証明書を入手し、日本において税額控除の手続きをする必要があります。

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