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PMI とは? M&A における重要性や取り組み方について解説

PMI は、M&A 後の企業の統合プロセスのことで経営統合、業務統合、意識統合の 3 段階からなります。

PMI は、M&A 後にさらに利益を拡大し、持続的な成長を遂げるための重要なプロセスです。

M&A の成否は PMI にかかっているとも言えます。その重要性と具体的な取り組みについて解説します。

PMI(Post Merger Integration)とは

PMIとは?

PMI(Post Merger Integration)は、M&A(企業の合併・買収)後の企業の統合プロセスのことです。
経営統合、業務統合、意識統合の 3 段階からなると言われています。
M&A により会社を統合してもそれだけで、統合後の会社がうまく回るわけではありません。
たとえ同じ業界でも会社によって経営方針はもちろん、業務のやり方やシステムが異なります。統合した直後から、元々は違う会社の人間同士が仲間意識を持てるわけではありません。
統合効果を最大化するためには、様々な分野で会社同士の統合を進める必要があります。
そのためには PMI が重要になります。

PMIの目的

PMI は、M&A 後のシナジー効果をもたらすことを目的に行います。
M&A により、売り手企業と買い手企業が単純に一緒になっただけでは、意味はほとんどありません。
双方の良い面と悪い面を洗い出したうえで、より良い方向に向けて改革を進めてこそ、経営統合を行う前以上の利益を計上し、企業価値を高められるわけです。
そのためには PMI の成否が重要になります。

PMI の 3 段階とは?

PMIの三段階とは

PMI は、経営統合、業務統合、意識統合の 3 段階に分けて行われます。会社のトップからスタートし、現場まで行き渡らせる形です。

経営統合

経営統合とは、経営理念や戦略、マネジメントフレームの統合のことです。
経営陣において、経営理念や戦略を統合させると共に権限や意思決定プロセスなどを統合し
ます。

業務統合

業務統合は、業務、インフラや人材、組織、拠点といった主に現場での統合を意味します。
具体的には、業務プロセス、役割分担、情報システムや、組織、人員割り当て、拠点配置な
どの統合です。
また、管理部門でも、人事評価制度、経営管理や予算、会計等の統合を行います。

意識統合

経営統合と業務統合によって、形式上は会社内の統合が終わったことになります。
ただ、働く従業員が心理的に統合できていなければ、本当の意味での統合にはなりません。
意識統合は、企業風土や文化の面で従業員の意識を統合する信頼関係構築の段階のことです。

PMIの具体的な流れ

PMIの具体的な流れ

PMIの具体的な流れは

  • PMI を意識した事前準備をする
  • PMI の計画を立てる
  • M&A 成立後に PMI に集中的に取り組む

の 3 段階に分けられます。それぞれの段階での取り組み内容を確認しましょう。

PMIを意識した事前準備をする

PMI は、M&A が成立した後で始めるのでは遅すぎます。 M&A 成立前の時点で、買い手企業側は、売り手企業側に関する情報を可能な限り集めて、 課題を洗い出しておきます。 デューデリジェンス(DD)により、売り手企業の事業、財務状況、リスクは把握できます が、書面上のものに過ぎません。 売り手企業の現場に入って、実際の業務を確認して初めて、課題が見つかることもあります し、逆に自社にない良い面が見つかることもあります。 そのため、近年では DD と併せて PMI のための情報収集や統合計画策定を行うケースも増 えてきています。

PMIの計画を立てる

PMI を進めるには、買い手企業において、計画を立てる必要があります。
その手順は次のとおりです。

  • トップダウン型で基本方針を提示する。
  • 統合準備室を中心とした体制を整備する。
  • マスタープランを作成し運用する。

まず、経営陣が PMI の基本的な方針を決定します。
PMI を進めていく専従の部署として、統合準備室を中心とした体制を整備します。
その上で、統合準備室が中心となって、経営陣が決めた基本方針に沿ってより細かい計画を作成し、運用を開始します。ただ、PMI における検討事項は多岐にわたるため、自社内の人材だけで対応できるとは限りません。
このような場合は、外部リソースの活用も検討すべきです。
M&A や PMI を数多く手掛けている税理士事務所、会計事務所などのサポートを受けることも有効です。

M&A 成立後に PMI に集中的に取り組む

M&A 成立後は PMI に集中的に取り組みます。
具体的にやるべきことは、経営統合と業務統合に分けられます。

経営統合

経営統合としてやることは

●経営の方向性の確立
● 経営体制の確立
● グループ経営の仕組みの整備

の 3 つです。

経営の方向性の確立は、経営の基本方針を決めた上で、経営ビジョンを示し、それを達成す るための「経営戦略」「経営目標」「事業計画」を作成して実現に向けて取り組みを進める ことです。

買い手側と売り手側の経営幹部等が対話を重ねて、経営理念を一致させて、具体的な計画に 落とし込んでいきます。 経営体制の確立は、主に「売り手側の経営体制の確立」が主な課題になります。 売り手側の経営幹部が退任して、買い手側の経営者が兼務することも多いですが、負担軽減 のために、中長期的に売り手側の経営を担う人材の確保が必要になることもあります。

また、売り手側の経営幹部等をどのように処遇するのかも焦点になります。経営改革のため には、経営幹部を一新することも選択肢の一つとは言えますが、急激な変革は売り手側の抵 抗やモチベーション低下を招く恐れもあります。 グループ経営の仕組みの整備は、買い手側と売り手側の会社が一体となり、経営の方向性実 現に向けた施策や経営課題への対応を実行できる体制を整えることを意味します。

グループ全体での「意思決定プロセスの確立」や「会議体の見直し」が主な課題になりま す。

業務統合

業務統合は事業機能と管理機能の統合に分類できます。

事業機能の統合

事業機能の統合では、統合によるシナジー効果を得て、グループ全体の成長につなげることを目指します。
シナジー効果には様々なものがありますが、

●統合によって売上拡大を目指す「売上シナジー」

●売上原価や販管費等のコストの削減による「コストシナジー」

が主なものになります。

こうしたシナジー効果を得ることにより、自社の課題の解決を目指すと共に自社の強みを強化し、持続的な成長につなげていきます。
シナジー効果を得るためには、M&A 成立前から、売り手側企業の事業機能についての情報を集めておき、M&A 成立後に速やかに事業機能の統合に取り組めるようにすることが重要です。取り組みの流れは次のとおりです。

●現状把握

●統合方針の策定

●行動計画の索敵

●行動計画の実行・検証

現状把握は M&A 成立前から始め、M&A 成立後により詳細な情報を集めます。
財務 DD と併せて PMI のための情報収集を専門家に依頼する際には、事前にスコープの共有をしておくことが望まれます。統合方針の策定では、シナジー効果の想定効果や実現可能性について評価し、取組の範囲と優先順位を決定します。
行動計画は、具体的に誰が、いつまでに、何をやるのかを明確にします。また、取り組みの効果を測定できるように、売上高、販売数量等の目標や KPI(重要業績評価指標)を設定します。
行動計画の実行後は、必要に応じて取組の見直しを行い、継続的に PDCA を実行します。

管理機能の統合

管理機能の統合は、売り手側の管理機能を把握したうえで、必要に応じて改善を行い、グループ全体で連携を図ることで経営基盤の整備や強化を目指します。検討すべき分野は主に次のとおりです。

●人事・労務
● 会計・財務
● 法務
● IT システム

人事・労務分野では、法令遵守の状況や内部規程類等の整備状況、適正性を確認し、問題があれば改善を図ります。また、従業員個々の労働契約関係の確認や人材配置の最適化も図ります。
会計・財務分野では、会計・財務関係の処理の適正性を確認した上で、グループ全体で会計・財務手続の連携を図ります。
法務分野では、法令遵守の状況、会社組織関係の適正性、外部との契約関係の適正性を確認
します。
IT システム分野では、ライセンス違反の有無等を確認し、IT システムの統一や情報セキュ
リティ対策の強化などを図ります。
管理機能の統合では、リスクの大きさや課題の重要性、緊急性を把握することが難しいこともあるため、必要に応じて、税理士事務所や会計事務所、法律事務所などのサポートを受けるべきです。

まとめ

PMIのまとめ

PMI は、M&A に伴う買い手側と売り手側の企業の統合プロセスのことです。
M&A を成功させるためには、PMI を適切に実行してシナジー効果を生み出すことが重要です。
PMI については、詳しい人材が社内にいないと、何から取り組んで良いのか分からず、うまく進められないことも多いものです。
M&A を数多く手掛けている会計事務所なら、PMI についてもノウハウを有していることも多いです。

財務 DD と併せて依頼することにより、有用な情報を得やすくなる効果が期待されます。
PMI に関して分からないことがある場合は、M&A に詳しいシェルパグループにご相談ください。

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