キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは? 制度概要や6つのコースについてわかりやすく解説

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(有期雇用労働者等)のキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主が助成を受けられるというものです。本助成金を活用することで、労働者の意欲や能力を向上させることにより事業の生産性を高め、優秀な人材を確保することができます。本記事では、キャリアアップ助成金の概要や各コースの解説、申請方法や実際の活用事例などをわかりやすく解説していきます。 

詳細や最新の情報につきましては、キャリアアップ助成金のホームページをご確認ください。 

リンク:キャリアアップ助成金|厚生労働省 

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が実施している雇用保険を基盤にした助成制度であり、企業が従業員の正社員化、処遇改善の取組を実施した際に支給されるというものです。 

日本の労働市場では非正規雇用労働者が増加しており、大きな社会問題となっています。非正規雇用労働者は、正社員と比べて賃金や福利厚生の面で劣位にあることが多く、また、スキルアップやキャリア形成の機会が限られているためです。そこで、労働市場の質を向上させてこれらの問題を解決し、労働者のキャリアアップ支援を促進する制度としてキャリアアップ助成金が設けられたのです。 

キャリアアップ助成金を活用することで、事業主は従業員の職場環境の改善をスムーズに行うことができ、結果として労働生産性が向上し、企業の競争力を強化することができます。また、キャリアアップ助成金の活用により、企業が社会的責任を果たしていることを示すことができるため、企業のブランドイメージの向上にも寄与します。 

キャリアアップ助成金は、企業と従業員双方にとって有益な制度であり、労働市場全体の健全な発展を目指すための重要な施策なのです。 

ャリアアップ助成金の6つのコー

キャリアアップ助成金の6つのコース

キャリアアップ助成金には、正社員化支援や処遇改善支援のための複数のコースがあります。申請する際は、状況や目的に合ったコースを選択するようにしてください。

ここでは、具体的なコース内容について解説していきます。 

このコースは、正規雇用労働者等へ転換または派遣労働者を正規雇用労働者等として直接雇用するなど、有期雇用労働者等を正社員化した場合に助成されるというものです。 

支給額

企業規模有期雇用→正規雇用無期雇用→正規雇用 
中小企業80万40万
大企業60万30万

加算額

措置内容 有期→正規無期→正規 
・派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合 28.5万円28.5万円 
・対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合 9.5万円 4.75万円
・人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合 
 →自発的職業能力開発訓練または定額制訓練以外の訓練修了後 
9.5万円 4.75万円
 →自発的職業能力開発訓練または定額制訓練修了後 11万円 5.5万円 
・正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合 20万円
(大企業15万円) 
20万円
(大企業15万円)
・多様な正社員制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合40万円
(大企業30万円) 
40万円
(大企業30万円)

このコースは、障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合に助成されるというものです。 

支給額

1.重度身体障碍者、重度知的障害者及び精神障害者の場合 

企業規模 有期雇用→正規雇用有期雇用→無期雇用無期雇用→正規雇用 
中小企業120万60万60万
大企業90万45万45万

2. 重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者以外の場合

企業規模 有期雇用→正規雇用有期雇用→無期雇用無期雇用→正規雇用 
中小企業90万45万45万
大企業67.5万33万33万

このコースは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合に助成されるというものです。 

支給額

企業規模賃金引上率3%以上5%未満5%以上
中小企業5万円6.5万円
大企業3.3万円4.3万円

加算額

企業規模職務評価の手法の活用により賃金規定等を増改定した場合
中小企業20万円
大企業15万円

このコースは、有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合に助成されるというものです。 

支給額

企業規模支給額
中小企業60万円
大企業45万円

このコースは、有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積立を実施した場合に助成されるというものです。 

支給額

企業規模賞与または退職金制度 
いずれかを導入 
賞与及び退職金制度 
を同時に導入 
中小企業40万円56.8万円
大企業30万円42.6万円

このコースは、短時間労働者に 

  • 新たに社会保険の被保険者となった際に、手当支給・賃上げ・労働時間延長を行った場合 
  • 労働時間を延長して新たに社会保険の被保険者とした場合 

上記のいずれかの取り組みを行った場合に助成されるというものです。 

支給額

1.手当等支給メニュー 

企業規模 ①1年目の取組②2年目の取り組み③3年目の取り組み
中小企業40万円
(10万円×4期)
40万円
(10万円×4期)
10万
大企業30万円
(7.5万円×4期)
30万円
(7.5万円×4期)
7.5万

2.労働時間延長メニュー 

企業規模延長時間 
4時間以上
3時間以上 
4時間未満 
2時間以上 
3時間未満
1時間以上 
2時間未満 
賃金引上率 5%以上10%以上15%以上 
中小企業30万円 30万円 30万円 30万円 
大企業22.5万円22.5万円22.5万円22.5万円

リンク:キャリアアップ助成金のご案内 

ャリアアップ助成金の申請方法

キャリアアップ助成金の申請方法

キャリアアップ助成金は、令和5年度より、「雇用関係助成金ポータル」より電子申請ができるようになりました。

ハローホーム経由や郵送にて提出できる場合もありますが、詳細はHP等にてご確認ください。

以下は電子申請の流れを解説していきます。

  1. GビズIDを保有していない場合は、利用開始に際して、申請・取得しておく (リンク: GビズIDを作成) 
  2. ログイン後、「事業所情報」「支払方法・受取人住所届」を入力する
  3. キャリアアップ助成金のページから希望しているコースを選択し、キャリアアップ計画を電子申請で作成後、届け出る 
  4. キャリアアップ計画の受理を確認後、計画したコースの取組を実施し、賃金を支払う 
  5. 支払い後、支給申請書を作成し、添付書類をアップロードし、申請する 

キャリアアップ計画書を紙で作成・認定を受けている場合は、その取組後に電子申請することはできないため、その取り組み分の支給申請は引き続き紙の申請書にて申請する必要があります。 

まだ取り組みを講じていない場合は、取組日の前日までに、電子申請で新たにキャリアアップ計画を作成・認定を受けることで、支給申請も電子で行うことができます。 

ャリアアップ助成金申請時の注意点

キャリアアップ助成金申請の注意点

キャリアアップ助成金は活用により多くのメリットを得ることができますが、その反面、申請書類や整備しなければならない社内規定や規則の条件が細かく設定されているため、制度を正しく理解しなければ助成をスムーズに受けることはできません。ここでは、キャリアアップ助成金の申請を行う際に注意すべき点について解説していきます。 

取組を行う前の手続きが必要

キャリアアップ助成金を申請するためには事前に「キャリアアップ計画書」を策定し、認定を受けてから取組を行う必要があります。この計画書には、取組実施後の詳細な職務内容や賃金条件等を具体的に記載する必要があるため、策定には一定以上の期間を要します。実施したい取組が決定次第、速やかに作成に着手することが望ましいでしょう。

申請期間の締め切りに注意

キャリアアップ助成金の支給申請は、正社員転換や処遇改善措置を行った後、一定の期間内に完了する必要があります。期限を過ぎてしまうと助成金を受け取ることができなくなってしまうため、必ず申請期間は守るようにしてください。 

助成金支給までのインターバルに注意

キャリアアップ助成金は申請してから支給されるまでの期間が長く、申請後1年ほど支給されないこともあります。経営全般に言えることでもありますが、スケジュールに余裕を持ち、計画的に資金運用していくことが大切です。 

まとめ

まとめ

いかがでしたか? 

本記事ではキャリアアップ助成金について概要やポイントについて解説してきました。 

キャリアアップ助成金は、事業主にとって、従業員の雇用環境を向上させるための重要な支援策です。正社員化支援や処遇改善を進めることで、企業の成長と従業員の働きやすさを実現できます。各コースの取組内容や条件を理解し、適切に活用することで、企業はより良い職場環境を作り、競争力を高めることができるでしょう。 

申請枠や計画書作成に迷われた際は、ぜひシェルパ社会保険労務士法人をはじめとしたシェルパグループにお気軽にお声がけください。 

本記事がキャリアアップ助成金の理解を深めるうえでお役に立てますと幸いです。

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