電子帳簿保存法とは

※本記事は2021年6月現在の情報に基づいて作成されています。

電子帳簿保存法は税法の一つ

近年よく耳にする電子帳簿保存法ですが、この法律は正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といい、実は23年前の1998年に成立した法律です。その名称のとおり、“国税関係帳簿書類の保存方法等”について定めた法律であり、国税に関する法律で、税法の一つを構成するものになります。電子帳簿保存法という名称からは、広く一般的な帳簿についての保存方法について定めた法律のように聞こえますが、あくまで、国税関係の書類について定めた法律になります。

そもそも、“国税関係帳簿書類”は、法人の場合は税法上7年間の保管が義務付けられています。詳細は割愛しますが、繰越欠損金というものを使用する場合においてその使用する期間が10年まで及ぶ場合には、保存期間は10年となります。10年より前の繰越欠損金は基本的には使用できないため、保存期間の最大は10年ということになります。ちなみに、会社法においても帳簿の保管期間が定められていますが、こちらは7年より長い10年となります。ただし、税法と会社法では保管義務を定めている帳簿の対象が異なるため、必ずしも同一とは考えられません。

この7年間の保管義務がある帳簿書類ですが、経理関係の方はよくご存知かとは思いますが、7年分となると相当のスペースを要します。会計の記録においては、請求書、領収書、納品書、さらには給与台帳なども使用しますし、入力した結果としての、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、固定資産台帳などの出力物なども入れると、もちろん会社の取引規模や取引量などにもよりますが、1期分でダンボール1箱や棚の1段分などを使用することとなるのはざらです。

国税関係の書類とは

国税関係の帳簿書類には以下のようなものが国税庁のホームページで例示されています。

帳簿書類
総勘定元帳棚卸表
仕訳帳貸借対照表
現金出納帳損益計算書
売掛金元帳注文書
買掛金元帳契約書
固定資産台帳領収書
売上帳 
仕訳帳 

国税関係の書類を電子的に保存することができる

このスペースをとる国税関係帳簿書類を、この時代に、いつまでも紙で保管しないといけないのか?なんで会計ソフトで作成した電子データですらも、わざわざプリントアウトして紙にした上で保管しないといけないのだ?といった声に応えて、税務書類を電子的に保管することを認めようというのが、電子帳簿保存法です。
電子的な保管の方法ですが、

・電磁的記録
・COM(電子計算機出力マイクロフィルム)
・スキャナによる保存

が認められています。

電子的な方法で受け取った帳簿書類についてはそのままの状態で保管することが出来ますし、紙で受け取った書類についてもスキャンした上でデータで保管することが出来ます。
ただし、そこは税法。電子保存と言っても、色々な要件が定められていたり、手続きが必要であったりと、思いついたその日に電子的な方法で保管ができるようになるわけではありません。そのあたりについては別記事で解説したいと思います。

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