経費精算の基本や流れを解説!ポイントや効率化のヒントも教えます

1. 経費精算とは

経費精算とは、従業員が経営活動において負担した金銭を精算し、会社がその分を支払う行為を指します。月1回の締日までに経費精算を行い、給料日にて給与とともに支払われることが多いです。

従業員が先に支払った費用を精算するケースや、概算金額を先に渡しておいて後で過不足を精算するケースがあります。たとえば、前者は「従業員が取引先と食事に行った際に支払ったお金を後に精算」、後者は「出張前に概算の費用を渡しておいて、帰社の際に精算」などです。なお、精算時には、支払い証明である領収書やレシートなどの証憑が必要となります。

経費精算には、小口精算・交通費精算・旅費精算や、備品等の購入を社員が立て替え払いした場合の精算などがあります。

・小口精算
従業員が負担した金額を、小口現金から現金でそのまま支払うこと。

・交通費精算
従業員が移動手段で使用した交通費(電車賃、タクシー代、バスの運賃など)を会社が支払うこと。

・旅費精算
出張にかかった経費(宿泊代、交通費、出張手当など)を会社が支払うこと。

 

2. 経費の対象となる費用について

経費の対象となる費用はどれが該当するのか、詳しくご存知でしょうか。ここでは、経費について詳しく解説し、経費対象となる費用を例を挙げて紹介します。

2-1. そもそも経費とは?

経費とは、経営活動上において必要となる支出のことであり、財務会計上における費用の一部です。たとえば、交通費・通信費・消耗品費などが挙げられます。なお、経費に計上することを「経費に落とす」とも言われます。

財務会計上では、収益から費用を差し引くことで、利益を求める仕組みです。つまり、経費に落とす金額が多いと利益が少なくなり、所得も小さくなるので、課せられる税金を抑えられます。経営者の中には、なるべく経費として落とそうと考える人がいますが、それは税金を少しでも抑えたいという考えがあるためです。

経費計上できるのは、基本的には事業活動において必要となる費用だけです。しかし、直接的には事業活動と関係ない費用でも、経費と認められるケースはあります。たとえば「取引先との会食」「取引先へ渡した香典・祝い金」などです。

一方、従業員や社長が完全なプライベートのために使用したものに関しては、事業とは関係がないために経費計上できません。

2-2. 経費対象となる費用の例

では、どのような費用が経費対象となるのでしょうか。具体的な例を以下で紹介します。

 

旅費交通費業務上で使用した公共交通機関の運賃
消耗品費10万円以下の備品や使用期間が1年未満のもの
接待交際費取引先との打ち合わせや会議目的の食事、またはお祝い金・香典など
通信費インターネット代、電話料金など
光熱費電気代、水道代、ガス代など
事務用品費コピー用紙、インク、ボールペンなど
新聞図書費事業活動に必要となる新聞代、書籍代など
福利厚生費社員の慰労会、慶弔費、健康診断費用など

 

3. 経費精算の流れ

経費精算の大まかな流れは以下のとおりです。

1.従業員が使用した費用を申請する
2.上司や経理部門が承認する
3.該当金額が従業員に払い戻しされる

以下、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

3-1. 従業員が使用した費用を申請する

従業員が事業活動で必要となる経費の支払いをした後、経費精算書を作成して、領収書やレシートとともに経理担当者へと渡します。経費精算書は、基本的には会社が指定したフォーマットを使用します。
なお領収書やレシートは支払い証明書であるため、必ず添付しなければなりません。

3-2. 上司や経理部門が承認する

従業員から提出された経費精算書を、上司や経理担当者がチェックします。書類に不備があれば、従業員に差し戻して修正させます。
何も問題がなければ、そのまま経費として認められます。

3-3. 該当金額が従業員に払い戻しされる

会社で規定された方法にて支払い処理します。現金支払いの場合は、従業員から受領のサインをもらいましょう。振り込みの場合は、給与と一緒に支払うことが多いです。
そして経理部は、精算書をもとに仕訳をします。金額や仕訳項目を間違えないように処理しましょう。なお仕訳日付は、費用の計上については領収書等の日付となります。

 

 

4. 経費精算に関するQ&A

ここでは、経費精算に関連する3つの疑問点について、詳しく解説していきます。

4-1. 経費精算規程は作るべきか?

A. 不正防止や業務効率化のためにも作るのがおすすめです。

 

経費精算規程とは、経費精算時の社内ルールのことです。どんな費用が適用されるか、金額はいくらまでか、どの申請用紙でいつまでに申請すればいいのか、などについて細かく定めます。
経費精算規程を定めることで、以下のようなメリットがあります。

・従業員による不正や申請ミスをなくす
・経費の無駄を減らして経費削減できる
・申請手順を決めることで経費精算業務を効率化できる

経費精算のルールがないと、不正や脱税といったトラブルが発生する可能性が高いです。会社の信用が落ちる原因にもなりますので、経費精算規程は作成することをお勧めします。

 

4-2. 経費精算の領収書がない場合は?

A.  代わりのもの、または必要事項を記載した出金伝票があれば領収書代わりになります。

費用の中には、領収書が発行されないものもあります。たとえば、自動販売機で取引先に振る舞った飲み物代、バスや電車の運賃などです。また、従業員が領収書を紛失したケースもあるかと思います。
この場合は、以下の情報が記載されている書類があれば、代用可能です。

・支払い先
・日付
・金額
・支払い内容

たとえば、請求書・納品書・クレジットカード明細書などでも代用できます。
または、その事実があったことを証明できるものでも大丈夫です。たとえば、ご祝儀や香典の場合、その挨拶状やご祝儀袋の表書きなどです。

 

4-3. 領収書の管理が大変!なんとか効率化したい

A.  領収書を電子化して効率化させましょう。

 

領収書は、税法にて7年間の保存が義務付けられています。きちんとファイリングして保存するのが好ましいですが、7年間分の領収書を保存するのはスペースを取りますし、ファイリング作業には時間がかかります。

そこでおすすめしたいのが、領収書の電子化です。「電子帳簿保存法」により、領収書の電子保存が認められています。
2016年以降からは、スマホで撮影した領収書の電子保存も認められました。つまり、従業員が出張先で領収書をもらったら、そのままスマホで撮影したものが使用できるのです。

領収書を電子化すると、以下のようなメリットがあります。

・領収書のファイリング作業から解放される
・領収書の検索が楽になる
・スマホで撮影した写真を使用してそのままデータ申請することも可能

このように効率化に繋がるメリットが多くありますので、業務効率化を目指すのならば、電子化はおすすめです。
電子化保存を適用するには、事前に税務署への申告が必要となります。電子データ保存開始日の3ヶ月前までに、所轄の税務署にて電子化保存の承認申請書を提出するようにしましょう。(2022年1月からは承認不要)

 

5. 経費精算の効率化にはアウトソーシングが役立つ理由

経費精算は、一見すると単純な作業かもしれませんが、経理担当者に求められる素質は多くあります。

・ミスや漏れのない正確性や細かな注意力
・簿記や財務などの専門知識
・申請用紙や領収書を管理する能力 など

とくに経費精算は申請や承認作業が多いため、大きな手間と時間がかかります。他の業務に追われて集中力が途切れるなどすれば、ミスも発生しやすくなります。

経理担当者の負担を減らしたい、経費精算業務を効率化させたい、と検討しているならば、アウトソーシングを利用するのがおすすめです。
アウトソーシングとは、専門家に一連の作業を委託することです。専門知識のあるプロが処理してくれるため、ミスや漏れの心配はありません。また、業務をすべて丸投げできるため、経理担当者の負担が減り、他の重要な業務に集中させることが可能です。
業務効率化にお悩みならば、ぜひアウトソーシングの利用を検討してみましょう。

 

6. まとめ

経費精算は、従業員が立て替えした金銭を支払う業務です。提出された経費精算書を確認し、経費として認められるかをチェックして、従業員へと支払うまでが一連の流れとなります。
もしもミスや漏れが発覚してしまうと、従業員の信頼度が下がるだけではなく、申告漏れによっては脱税となるリスクもあります。少しでも経費精算に不安があれば、アウトソーシングを活用してみましょう。

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