「売上高」とは!経営者が押さえておきたいポイントについてわかりやすく解説!

「売上高」や「利益(もうけ)」といった単語を普段から使っている方でも、具体的な違いを理解している人は少ないかもしれません。

経営者の方のなかには、「売上高について理解を深め、経営にいかしたい」という方もいるでしょう。

この記事では、売上高や利益についてわかりやすく解説します。経営にいかせるポイントも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

売上高とは?

売上高とは、サービスや商品を販売して得られる売上の合計金額のことです。売上高をあげると、企業に入るお金が増えるので利益が残りやすくなります。ここでは売上高に関連する語句について解説します。

売上高と利益の違いは?

売上高は、先ほど説明したように売上の合計金額のことです。利益は売上高から仕入高等の経費を差し引いて残った金額を表します。

売上高とは「もらった金額の合計」のことをいい、利益とは「儲かった金額の合計」のことをいいます。

売上と利益はどちらが大事?

売上と利益はどちらも大事ですが、企業にとっては「利益」を重視するケースが多いといえるでしょう。

売上は社員にとってイメージしやすく、よく目標として設定されます。しかし、企業経営を考える場合、利益を残さないといけません。利益を生むことで、「新しい事業への投資」や「売上不振等のリスクへの備え」をするための原資を確保していきます。

ベンチャー企業では、事業内容を安定させて売上を伸ばすことが大事な時期もありますが、売上の基盤ができたら利益を伸ばしていくことも大切です。

損益計算書の5つの利益

ここでは、企業の経営状態を見るための、損益計算書に記載される「5つの利益」についてご紹介します。

損益計算書とは

損益計算書とは、事業者の経営成績を表すものです。

事業者の経営成績を、収益(売上など)と費用(経費など)とを対比して、その差額として利益を示しています。

別名「Profit&Loss Statement」(P/L)とも呼ばれます。

損益計算書のイメージは下図のとおりです。

出典:決算書の作成 J-Net21

売上総利益

売上総利益とは、いわゆる「粗利」のことです。

売上総利益は、企業の直接的な事業活動によって得られた利益であり、売上高から売上原価を引いて計算されます。

売上原価とは、売上のために使った直接的な費用のことをいい、仕入高等が含まれます。

営業利益

営業利益とは、企業の事業活動によって得られた最終的な利益です。売上総利益から販売費および一般管理費を引いて計算されます。

販売費および一般管理費とは、売上のために使った間接的な費用のことをいい、給与や支払家賃、広告宣伝費等が含まれます。なお、金融機関では、「給与」や「計上額が多い勘定科目」がチェックされる傾向にあります。

経常利益

経常利益とは、営業利益に企業の事業活動以外から得られる収益を含めた企業全体の利益です。営業利益に営業外収益と営業外費用を含めて計算します。

営業外収益とは受取利息や有価証券売却益等が含まれ、営業外費用とは支払利息や為替差損が含まれます。

なお、金融機関では、返済能力を調べる一つの指標として「簡易キャッシュフロー」をもちいることがあります。これは、経常利益を利用した考え方です。

簡易キャッシュフローは、「企業が1年間にどれだけ現預金を増やせるか」を簡易的に計る指標です。

経常利益に、減価償却費(費用ではありますが実際に現預金の減少がない)を足して、法人税等を引くことで求められます。

1. 簡易キャッシュフロー=経常利益+減価償却費-法人税等

(2. 簡易キャッシュフロー=経常利益×0.6+減価償却費で計算する場合もある)

1の計算式は、経常利益・減価償却費・法人税のすべてを把握している場合に使用します。一方、2の計算式は、経常利益と減価償却費だけで、迅速なキャッシュフローの概算が可能です。

この簡易キャッシュフローと一年間の借入返済額を比較し、簡易キャッシュフローが一年間の借入返済額を下回っていないかチェックすることで、金融機関では借入過多になっていないかを確認します。

税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、経常利益から特別利益と特別損失を含めて計算したものです。特別利益と特別損失は毎年計上される費用ではなく臨時的な損益で、固定資産売却損益や保険差益等が含まれます。

企業が支払う税金は、税引前当期純利益から計算されます。

当期純利益

当期純利益とは、税引前当期純利益から法人税等・法人税等調整額を引いて計算したものです。

当期純利益は企業が1年間の活動で得られた利益のことをいいます。

売上計上利益率は損益計算書には記載されませんが、損益計算書から簡単に求められるため企業経営で重要な指標であり、経常利益÷売上高×100で計算が可能です。

製造業では製品当たりの製造原価、販売業では仕入価格が販売価格に対して低いと、この比率が高くなります。

比率が低い場合は、顧客との取引条件や原価管理、仕入管理を見直してみましょう。また、期末の棚卸高(在庫の金額ベース)が期初より大きければ売上原価は低くなりますが、一般的に棚卸高は少ないほうが資金負担も少なく健全な経営といえます。

売上計上利益率には突発的な特別損益が含まれないので、企業本来の収益力の把握が可能です。

出典:「キーワードで見る法人企業統計」財務省

業種によって平均値は異なりますが、10%以上あれば優良企業と判断されます。同業種の平均値よりも売上高経常利益率が低い場合は、改善できないか検討してみましょう。

損益分岐点とは?

損益分岐点とは、企業経営をおこなったときに売上高と費用が同じになって損失が0になる売上高のことです。損益分岐点を上回れば黒字、下回れば赤字となります。

損益分岐点を用いた指標として、損益分岐点比率があります。損益分岐点比率は損益分岐点÷売上高×100で計算が可能です。

企業規模や業種にもよりますが、損益分岐点比率が80%未満ならば優良企業とされていて、赤字への耐性も強いと言われています。

 

「売上」をアップさせる3つの方法

売上をアップさせるには、販売単価か販売数量を増やすことが重要です。企業の強みを分析して、販売単価と販売数量のどちらを伸ばしていくか決めていきましょう。ここでは3つの売上アップのための改善方法を解説します。

販売単価を上げる

販売単価を上げるためには、企業のブランド力向上や付加価値の高い商品を開発、セット販売による単価アップなどが効果的です。

既存単価の値上げは顧客にマイナスのイメージを与えるかもしれませんが、売上が好調な商品などを中心に、適正価格への設定を検討して売上アップにチャレンジしてみましょう。

既存顧客への販売数量を増やす

既存顧客が増えると、毎月の売上が増加していきます。企業のファンになってもらえるような、商品やサービスの提供が大切です。

購買頻度が2倍になれば、その顧客からの売上が2倍になります。リピーターは新規顧客を紹介してくれたり、購入単価が高かったりするので売上をアップするうえで重要です。

新規顧客への販売数量を増やす

売上をアップさせるために、新規顧客の獲得はとても重視されます。新規顧客の獲得をしないと、既存顧客の数も増えません。
顧客のリピート率を100%にすることは不可能です。そのため、新規顧客を獲得しないと顧客は減少していきます。

新しい地域や客層への宣伝広告をおこなったり、ネットを宣伝に活用したりして新規顧客の獲得に繋げていきましょう。

 

「利益」をアップさせる3つの方法

利益をアップさせるのは、売上を伸ばすのと同様に費用や経費を下げることが重要です。ここでは3つの利益アップの方法を解説します。

変動費の削減

変動費とは「売上の増減に応じて増減する費用」のことで、仕入高や販売手数料などが該当します。

変動費を下げれば、1つの商品を売り上げたときの利益は増加しますが、仕入等のコストカットによる商品の品質低下には気をつける必要があるでしょう。

人件費の最適化

企業経営で大きな負担になるのが人件費です。給与カットは社員のモチベーション低下につながる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

作業の自動化や人員の配置換えなどによる生産性の向上を図ったり、経理や労務をアウトソーシングして既存業務の外注化を取り入れたりするなど、人件費の最適化をおこなうのも一つの手です。

不必要な経費を抑える

不必要な経費を払い続けることは、会社の利益を下げる不要な出費でしかありません。

まずは不必要な経費が発生していないか、洗い出しをおこなうとよいでしょう。不必要な経費を抑えるための方法としては、ペーパーレス化と消耗品の選定、家賃の安いオフィスへの移転等の固定費の見直し等が有効です。

 

売上高Q&A

ここでは、売上高に関する「よくある質問」をご紹介します。

結局どれぐらい売上があればいいのですか?

一つの目安としては、毎月の必要経費と目標利益が確保できるだけの売上高があれば黒字経営が可能です。

具体的には、以下の計算式により算出が可能です。

(必要経費+目標利益)/売上総利益率※

※売上総利益率は売上総利益/売上高で計算された数値

売上高には何が含まれますか?

売上高には、企業の直接的な営業活動によって得られた収入が含まれます。配当金や受取利息等の営業外収益は含まれない点に注意しましょう。

売上が大事な理由は何ですか?

売上が伸びると、企業としても成長できます。

利益の伸びしろや知名度の増加による新規顧客の獲得、大量購入によって仕入値を安くできる可能性があったりと、営業活動の拡大が可能です。

さらに、融資の際は、売上規模や利益に応じて、貸付可能額が変わったり金利も変わったりします。

「営業利益率が高い」とはどういう意味ですか?

営業利益率は営業利益÷売上高×100で計算でき、企業の収益性を計ることができます。一般的な水準は10%程度で、11%以上あれば営業利益率が高いとされ、優良企業と判断されます。

なお、営業利益率が20%以上になると、低賃金などの問題を抱えている可能性もあるので、注意が必要です。

また、営業利益率が低いと売上高が減ったときに赤字経営になりやすいといえます。この場合、費用の削減等をおこない、営業利益率の改善を検討することが大切です。

 

まとめ

この記事では、売上高と利益についてわかりやすく解説しました。さらに、これらの要素を経営に活用するためのポイントについても紹介しています。

売上高と利益の違いや、それぞれの重要性を理解することで、経営戦略の立案やビジネスの成功に役立つ知識を得ることが可能です。

そのため、これらに関する知識を備え、経営における正確な判断をおこなうための有用なツールとして活用することをおすすめします。

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