この記事を監修した人

- シェルパ税理士法人 代表社員 税理士
四大会計事務所系税理士法人勤務後、2018年に弊所参画
一般的な法人税務に加えてM&Aを中心とした組織再編、国際税務、なども得意分野とする。
上場準備会社の支援も行なっている。
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反面調査とは、税務調査の一部として、税務署が「本人以外から真実を確認するため」におこなわれる調査です。取引先や金融機関など、第三者まで調査されます。
反面調査がきた場合、正当な理由がない場合は調査に協力しなければなりません。
調査の際に対応を誤ると深刻な問題に発展することがあるため、日頃からの準備を整えることが大切です。
この記事では「反面調査」について、事前の準備や調査時に注意する点など、経営者が知っておいた方がよい情報を具体的にわかりやすく解説します。
【概要】反面調査とは?

ここでは、反面調査についてわかりやすく解説します。
なぜ反面調査がおこなわれるの?
税務署には、納税者が提出した申告内容が正しいかどうかを確認する責務があります。
そのため、申告書や帳簿に疑わしい点や不明確な箇所が見つかると、事実関係を裏づけるために反面調査が実施されるのです。
たとえば、書類の紛失等により帳簿の数字が正しいか確認できないといったケースがあります。
この場合、帳簿の数字だけでは真実を見極めることが難しいことがあるため、取引先や金融機関といった第三者への照会を必要とします。
つまり、反面調査は「数字が実際の取引を反映しているか?」を確かめるために、必要な手段なのです。
「税務調査」となにが違うの?

通常の税務調査では、会社の帳簿や請求書、領収書といった内部の資料をもとに、申告内容に誤りがないかを確認されます。
一方で、反面調査では、調査対象となった企業だけでなく、取引先や金融機関、さらには従業員や経理担当者など、第三者にも直接問い合わせがおこなわれます。このように、通常の税務調査は「社内にある情報」だけが確認の対象ですが、反面調査は「社外の証言や資料」が確認されるのです。
反面調査されたらどうなるの?
反面調査は、自社だけでなく取引先や関係者に対しても確認が及ぶため、自社の信用に影響を及ぼす場合があります。
税務署からの問い合わせを受けた取引先が「この会社に何か問題があるのでは?」と感じてしまえば、今後の取引関係に影響が出る可能性もあります。
そのため、経営者としてはできれば避けたいでしょう。
とはいえ、実際の調査では帳簿や取引の裏づけを確認する作業が中心であり、内容に不備や虚偽がなければ特別な問題に発展することはありません。
また、税務職員には守秘義務があり、調査を通じて知り得た情報を第三者に漏らすことは法律で固く禁じられています。
調査の過程で自社や取引先の情報が外部に漏れる心配は基本的にないため、過度に不安になる必要はないでしょう。
反面調査ではなにを調べられるの?

反面調査の対象は、主に「お金の流れ」と「契約内容」の正確性です。
取引先・経理担当者はなにを聞かれるの?
取引先に対しては、「実際に工事を依頼したのか」「業務の内容は何か」「支払った金額や条件は適正だったか」などが質問されます。
また、経理担当者には帳簿上の処理が正しいかどうかを確認するため、「支払い方法」「領収書や帳簿の管理状況」「請求書と支払の一致」など、細かい点を聞かれることがあります。
契約書・請求書の何を見られるの?
契約書では取引の内容や契約条件、請求書では金額・取引先名・日付などがチェックされます。
小さな不備や矛盾が調査を長引かせる原因になるため、普段から書類を正確に整えておくことが大切です。
反面調査で契約書を確認される場合、取引の実態がきちんと記録されているかどうかが大きなポイントです。
たとえば、取引内容が実際の業務と一致しているか、契約条件が妥当か、金額の算定根拠が不自然でないかといった点がチェックされます。
また、請求書については、記載された金額や取引先の名称、日付、振込先口座などの情報がおもな調査対象です。
こうした書類に小さな不備や記載の矛盾があると、それだけで調査が長引いたり、追加で説明を求められたりすることがあります。
不要な誤解を招かないためにも、日頃から契約書や請求書を正確かつ整理された状態で保管し、必要に応じてすぐに提示できるように準備しておくことが大切です。
反面調査を受けやすい人は?

反面調査は、本調査で判明しきれない事実を確認するためのものです。そのため、以下のような場合、反面調査を受けやすくなる点に注意しましょう。
- 1取引の金額が高額
- 発行する書類の不備が多い
高額な取引は、税額に大きく影響することから税務調査の争点となりやすく、反面調査の可能性が高まります。
また、少額な取引であっても書類に不備があると、取引の実態を書類だけでは確認できないため、反面調査が必要となることがあります。
そのため、日ごろから正確な書類の発行や管理を心がけましょう。
反面調査がきたらどうしたらいい?

ここでは、反面調査がきた場合に取るべき対応を、具体的にわかりやすく解説します。
誰に相談すればいい?
まずは、税理士に相談しましょう。
専門家は税務署とのやり取りの経験が豊富で、調査官への対応や提出資料の整理・説明の仕方まで、実務に即した適切なアドバイスをしてくれます。
一方で、税理士に相談せずに自己判断で対応してしまうと、言わなくてもよいことまで伝えてしまったり、説明の仕方を誤って余計な誤解を招いたりするリスクがあります。
その結果、本来なら問題にならなかった点まで指摘を受ける可能性も否定できません。
そのため、まずは税理士に相談して、専門的なサポートを受けるとよいでしょう。
事前準備はなにすればいい?
反面調査に関わらず、日頃から取引内容を示す契約書、請求書、領収書をすぐに提示できるよう整理しておきましょう。
特に建設業の場合は、工事写真や施工記録など、現実に工事がおこなわれたことを示す資料が大変重要です。
また、口頭での説明を求められたときに慌てないよう、経理担当者や従業員にも「どの取引がどの経費に対応しているか」を共有しておきましょう。
調査は何に気をつければいい?
聞かれたことには正確に答え、それ以上に余計なことは話さないのが基本です。
そして、一番避けたいのは、曖昧な回答や事実と異なる説明をしてしまうことです。「分からないことは分からない」「確認します」と誠実に対応しましょう。
また、調査官が取引先へ直接出向くことを避けたい場合は、税理士を通じて事情を説明し、可能であれば電話や資料の提出で代替してもらう交渉をしておくことも有効です。
よくある質問

ここでは、よくある質問を2つご紹介します。
調査に協力しないとどうなるの?
反面調査は「質問検査権」という法律上の権限に基づいておこなわれるため、協力を拒否することはできません。
調査に協力しない場合、余計に疑念を持たれ調査が深刻化する可能性があります。
そのため、調査には誠実に応じることが大切です。
反面調査から税務調査につながることってあるの?
はい、あります。
可能性は高くはありませんが、反面調査で不自然な点や悪質な隠ぺいなどが見つかれば、本格的な税務調査に発展することがあります。
しかし、しっかりと資料が整っており正しい取引だと証明できれば、税務調査に繋がることはなく、調査も短期間で終わるため、日頃から「見られても困らない経理体制」を整えることが、予防策としては非常に有効です。
まとめ

反面調査は、税務調査の一部として、税務署が「本人以外から真実を確認するため」におこなわれる調査で、取引先や金融機関など第三者にまで調査が及ぶ点が特徴です。
反面調査の際に、対応を誤ると余計に疑念を持たれ、本格的な税務調査に発展することがあります。そのため、反面調査が入った場合は、専門家へ相談し正しい準備をおこなうことが大切です。
不安やリスクを最小限に抑えるためにも、日頃から契約書や請求書の整備を徹底しておきましょう。
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