中小企業デジタルツール導入促進支援事業の 活用方法についてわかりやすく解説

【DXを推進!】中小企業デジタルツール導入促進支援事業の活用方法についてわかりやすく解説

この記事を監修した人

榊原 聡
榊原 聡ビジネス・カタリスト株式会社 代表取締役
株式会社きらぼし銀行(当時株式会社八千代銀行)へ入行。
一環して融資審査業務に従事し、2018年に税理士法人ヒダ(現シェルパ税理士法人)へ入社。
2020年にビジネス・カタリスト株式会社の立ち上げに関与し、2021年より現職。
銀行業務で培った融資支援・財務コンサルティングを専門とし、その他補助金・助成金支援業務にも携わる。

中小企業における人手不足や労働生産性の低下、業務の属人化などの経営課題に対し、「デジタルツールの導入」は効果的な解決策のひとつです。 

東京都中小企業振興公社が実施する 「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」 は、まさにこうした課題に対応するための支援制度です。この制度は、東京都内の中小企業が デジタルツールを導入する費用の一部を助成するというものです。本記事では、本制度の概要や注意点についてわかりやすく解説していきます。 

詳細や最新の情報は、事務局ホームページを確認するようにしてください。 

リンク:中小企業デジタルツール導入促進支援事業|東京中小企業振興公社 

中小企業デジタルツール導入促進支援事業とは

中小企業デジタルツール導入促進支援事業とは

近年、中小企業を取り巻く経営環境は大きく変化しています。人手不足の深刻化や働き方改革、取引先からの電子化要請、インボイス制度対応など、従来のアナログ業務のままでは立ち行かなくなるような、経営を圧迫する課題が増えているのです。 

こうした背景の中で、東京都は 「中小企業デジタルツール導入促進支援事業」 を創設しました。この制度は、都内の中小企業や個人事業主がデジタルツールを導入する際に、その費用の一部を助成するというものです。 

具体的には、例えば販路拡大のための顧客管理システムや業務効率化のための勤怠・在庫管理システム、またクラウド会計システムの導入費用やサブスク費用について助成を受けることができます。 

ハード機器や一般流通していないデジタルツールは助成対象外であることなど、いくつか制限はあるものの、国の補助金制度である「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」と比べて比較的スピーディーに導入支援を受けられる点が特徴です。 

また、DXに関する無料の専門家相談もできるため、「導入したいがコストが高く踏み切れない」「業務改善したいが何から始めればよいかわからない」と悩む中小企業にとって、本事業はDXへの第一歩を踏み出す有効な手段となるでしょう。 

中小企業デジタルツール導入促進支援事業の概要

中小企業デジタルツール導入促進支援事業の概要

ここでは、中小企業デジタルツール導入促進支援事業の概要について解説していきます。 

項目内容
対象者東京都内に本店または主たる事業所を有する中小企業者、個人事業主
対象経費新たに導入するデジタルツール購入にかかる経費(ツール本体)と、そのデジタルツール導入にかかる初期設定、カスタマイズ、運用・保守サポートに要する費用(関連経費)の一部 
対象外経費ハード機器(PC、タブレット端末等)及び汎用性の高いソフトウェア 
(OS、セキュリティソフト、表計算・文書作成ソフト等)等 
助成率助成対象経費の1/2(小規模事業者は2/3) 
助成上限額5万円~100万円 
申請期間令和7年10月1日~10月27日(予算に達し次第締切)
申請方法「Jグランツ」による電子申請(gBizIDプライムアカウント必須)
助成対象期間2年

申請要件

業種と規模

以下の条件を満たす事業者であることが条件です。 

業種資本金及び常時使用する従業員 
製造業・建設業・運輸業・その他の業種3億円以下 または 従業員300人以下
(ゴム製品製造業の一部は900人以下)
卸売業 1億円以下 または 従業員100人以下 
サービス業5,000万円以下 または 従業員100人以下(旅館業は200人以下)
小売業 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下

個人事業主も申請可能です。また、一般財団法人、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、学校法人、宗教法人、医療法人、社会福祉法人、農事組合法人等は申請できません。 

事業実施場場所

申請時に、東京都内で実質的に事業を行っており、かつ以下の条件を満たすことが条件です。

条件 事業実施場所 
申請時点で東京都内に登記簿上の本店があること 東京都内及び東京都外(神奈川県、埼玉県、千葉県、群 馬県、栃木県、茨城県、山梨県に所在すること)
申請時点で東京都内に登記簿上の 支店があること東京都内 

以上の条件に加え、完了検査時に事業実施場所において新たに導入したデジタルツールを使用し、運用を開始していることや、支払いに係る経理関係書類が確認できることも条件となります。

専門家によるフォローアップ支援

本事業に採択された場合、助成対象期間内に専門家によるフォローアップ支援を受けることができます。申請したデジタルツールの運用についてや、今後のデジタル化に向けての相談を無料で行うことができます(5回まで)。 

申請時の注意点

中小企業デジタルツール導入促進支援事業の申請時の注意点

申請時に注意すべきポイントについて、以下に解説していきます。 

ハード機器は助成対象外

PC(キーボード・マウス等の周辺部品含む)、タブレット端末、スマートフォン、固定電話、カメラ、コピー機、読み取り機器、券売機等、すべてのハード機器は助成対象外です。 

ただし、設備等の稼働・故障状況を可視化するソフトウェアを導入する場合に限って、導入ソフトウェアの目的を達成するために当該設備や機器と接続する専用の機器が必要となるときは、専用の接続機器も含んで助成対象とできます(この場合の助成上限額は20万円となります)。 

一般流通していないデジタルツールは対象外

導入するデジタルツールが一般市場で販売されていることが確認できないもの(特定の顧客向けに限定され、一般市場に販売されていないもの等)は対象外です。 

導入済みのデジタルツールに係る費用は対象外

既に導入しているデジタルツールのライセンス及びユーザー数等の増大や追加購入、またリビジョンアップに係る費用は対象外です。

汎用性の高いソフトウェアは対象外

OS(サーバーOSを含む)、セキュリティソフトウェアなど、すでに一般に広く利用されている汎用性の高いソフトウェアと認められるものは対象外です。 

デジタルツールの途中解約は基本的にできない

本事業では、デジタルツールの導入による継続的な事業の成長・発展を目的とするため、デジタルツールの期間使用料は、助成対象期間を最大限利用することが基本となります。デジタルツールの期間使用料を途中で解約する場合は、中止となり、助成金が交付されない場合があるので注意が必要です。 

重複申請に注意

助成対象として申請した同一の内容(経費)で、公益財団法人東京都中小企業振興公社・国・都道府県・区市町村等から重複して助成金又は補助金の交付を受けることはできません。本事業の申請時点から交付決定までの間に、本助成金に申請した同一の内容で、国・都道府県・区市町村等の他の助成金・補助金等に併願申請を行い、両方で交付決定を受けた場合は、いずれか一方の助成金・補助金を取下げる必要があります。 

助成対象期間内の運用を厳守

助成対象となるのは、助成対象期間内に契約(発注/発注請又は申込)、取得、実施、支払及び運用開始までを完了した経費のみです。助成事業の実施は、申請内容及び交付決定通知書の内容に沿って、助成対象期間内に必ず完了させるようにしましょう。 

FAQ(よくある質問)

他の補助金と併用できますか?

国のIT導入補助金等と 同一経費での併用は不可 ですが、対象事業が重複しない場合は可能です。 

本店が他県にあり、都内に事業所があります。都内事業所は支店登記していませんが、申請できますか。

申請できません。東京都内に登記があることが申請要件になっています。

複数の店舗を運営しているが、店舗ごとに申請可能でしょうか?

いいえ、店舗ごとには申請できません。1事業者について1回の申請となります。 

フリーランスや個人事業主も申請できますか?

申請できますが、開業届や確定申告書類等で東京都内で実質的に事業を行っていることを証明する必要があります。

ソフトウェアのサブスクリプション費用も対象になりますか?

はい、クラウド利用料などは最大2年分まで対象になりますが、助成対象期間内に契約を締結し、使用し、支払を完了した分に限ります。

複数のデジタルツールを組み合わせて導入してもよいですか?

能です。例えば「会計ソフト+勤怠管理システム」や「ECサイト構築+在庫管理ツール」といった組み合わせも対象となります。ただし、それぞれの費用が補助対象経費であることを確認する必要があります。 

補助金を受けた後、導入ツールを途中で解約しても問題ありませんか?

補助対象期間内に解約すると返還を求められる場合があります。事業計画期間中は継続利用が原則です。 

経費の支払いはクレジットカードでも行えますか?

はい。だだし、以下の条件を満たす必要があります。

  • クレジットカード利用日が助成対象期間中であり、一括払いであること 
  • 助成対象期間中に、銀行口座からの引き落としが確認できること 
  • 助成事業者本人のカード(法人の場合は原則法人カード。個人の場合は代表者のカード。)を使用した支払いであること 

まとめ

いかがでしたか? 

本記事では、中小企業デジタルツール導入促進支援事業について、制度の概要や注意点について解説してきました。 

デジタルツール導入は「コスト削減」だけでなく、未来の成長戦略につながる投資です。DX推進に弾みをつけ、常に変化し続ける経営環境に適応する手段として、本制度を上手に活用していきましょう。 

DX戦略や申請手続き等に迷われた際は、ぜひビジネス・カタリストをはじめとしたシェルパグループにお気軽にお声がけください。 

本記事が中小企業デジタルツール導入促進支援事業についての理解を深めるうえでお役に立てますと幸いです。 

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