各種補助金や助成金の中で、2025年に新設された「中小企業成長加速化補助金」は、今後の企業成長に向けた投資を促進するための重要な施策として注目されています。売上高10億円以上100億円未満の企業で、さらなる成長を目標として積極的な設備投資や人材育成を行いたいと考えている企業にとってはとても魅力的な補助金です。
本記事では、中小企業成長加速化補助金の概要や申請方法についてわかりやすく解説していきます。
詳細や最新の情報につきましては、中小企業成長加速化補助金のホームページをご確認ください。
中小企業成長加速化補助金とは?

中小企業成長加速化補助金とは、中小企業が売上高100億円の企業へ成長し、中堅企業化を目指すための設備等を含めた投資を支援する補助金で、令和6年度補正予算で新たに創設された補助金です。
以下に中小企業成長加速化補助金の概要について解説していきます。補助対象経費や補助要件など、詳細な情報は公募要領をご確認ください。
補助金創設の背景
日本経済を支えている中小企業ですが、近年多くの問題に直面しています。原材料費やエネルギー価格の高騰、人手不足、賃上げなど、その問題は様々で、これらを乗り越えなければ生き残ることができないのが現状です。また、グローバル化やデジタル化が急激に進んだことで、国や企業規模の垣根を超えた競争が激化し、中小企業は生き残りをかけて、生産性向上や新たな挑戦をすることが求められているのです。
特に売上高が100億円に及ぶ企業は、一般的に賃金水準が高く、輸出による外需獲得やサプライチェーンへの波及効果も大きいなど、地域経済に与えるインパクトも大きいため、将来の売上高100億円を目指して、大胆な投資を進めようとする中小企業者の取組を支援することはとても重要です。
そこで国は、中小企業全体の「稼ぐ力」を底上げするとともに、地域にインパクトのある成長企業を創出するため、中小企業成長加速化補助金の創設を決定したのです。
補助事業について
本補助金は、賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい大胆な投資を伴う事業に対し補助されます。
例えば・・・
- 工場、物流拠点などの新設・増築
- イノベーション創出に向けた設備の導入
- 自動化による革新的な生産性向上
などの事業が補助対象となっています。
補助対象経費について
補助対象経費には主に以下のようなものがあります。土地代や単なる資産購入費用は対象外となるため、計画の策定時には注意が必要です。
- 建物費:
補助対象経費には主に以下のようなものがあります。土地代や単なる資産購入費用は対象外となるため、計画の策定時には注意が必要です。 - 機械装置費:
製造工程の自動化や生産性向上のための機械、工具、器具の購入・設置費用が含まれます。設備導入・更新により生産性を大幅に改善することが求められます。 - ソフトウェア費:
専用のソフトウェアや情報システムの導入、クラウドサービスの利用など、デジタル化推進に関連する経費が対象です。 - 外注費・専門家経費:
事業計画の実施に必要なデザインやシステム開発、コンサルティング費用など、外部の専門家への依頼費用も補助対象となります。
補助上限額について
補助上限額は最大5億円、補助率は1/2となっています。
補助対象となる条件
補助対象となるには以下のようないくつかの要件があり、それらをすべて満たす必要があります。
- 中小企業者であること
売上高が10億円以上100億円未満で、売上拡大や新たな市場開拓を積極的に実施し、将来的な大規模成長を目指す中小企業であること - 「100億宣言」を行っていること
企業が将来の売上高100億円超を目指し、具体的な成長計画を策定している必要があります。宣言を行うことにより、補助金の活用だけでなく、経営者同士のネットワーク形成や、企業イメージの向上にもつながります。 - 投資額の要件
投資額が専門家経費や外注費を除く実際の補助対象経費として1億円以上である必要があります。 - 賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画の策定
補助事業終了後3年間について、要件を満たす賃上げ目標を盛り込んだ今後5年程度の事業計画を策定し、提出する必要があります。具体的には、応募申請時に基準率以上の目標を掲げ、その目標を従業員等に表明の上、達成することが要件となります。
公募スケジュールと申請の流れ

中小企業成長加速化補助金の公募スケジュールは以下の通りです。申請は全て電子申請となっており、GビズIDプライムアカウントの取得が必須です。スムーズに申請するためには、早期にアカウントを取得し、必要書類を準備しておく必要があります。
申請受付開始日 | 2025年5月8日(木) |
申請締切日 | 2025年6月9日(月) |
一次審査結果公表日 | 2025年7月上旬 |
プレゼンテーション審査 | 2025年7月下旬~8月下旬 |
採択結果公表日 | 9月上旬 |
- 公募説明会
4月下旬に開催され、補助金制度の趣旨や申請の流れ、注意点などが説明されます。 - 1次公募受付
5月8日(木)より申請受付が開始され、6月9日(月)に締切となります。 - 審査
7月上旬に1次審査結果が公表され、その後、プレゼンテーション審査(2次審査)が実施されます。外部有識者(利害関係者を除く)との質疑応答を通じて、計画の効果・実現可能性等について定性面も含めた審査が行われます。 - 採択および交付
9月上旬に採択結果が発表され、順次交付決定が行われます。尚、各工程において、審査のための追加資料提出や、書類の再確認が行われる可能性があるため、余裕を持った計画を立てておく必要があります。
申請時のポイント

ここでは、申請時に気を付けたいポイントについて解説していきます。
一次産業は補助企業対象外
補助対象とする事業の内容が、農作物の生産自体に関するものなど1次産業を主たる事業としている場合は対象外となります。ただし、1次産業を営む事業者であっても、補助対象とする事業の内容が2次・3次産業に関する事業である場合は対象となり得ます。
補助事業は国内で実施されることが条件
本補助金の補助事業は、国内で実施されることが条件となっています。海外拠点に対しては補助されないので注意が必要です。
2次公募が予定されている
本補助金は、1次公募の終了後に2次公募が行われる予定です。今回の申請に間に合わない事業者も、次回に向けて計画を進めておくと良いでしょう。
まとめ

いかがでしたか?
本記事では中小企業成長加速化補助金について概要やポイントについて解説してきました。
中小企業成長加速化補助金は、売上100億円規模の中堅企業を目指す中小企業にとって、売上高拡大や設備投資、賃上げを通じた企業の成長を支援するこの補助金は、経費削減とともに中長期的な成長戦略の一翼を担います。
審査で重視されるのは、足下の売上高の多寡に関わらず、補助事業期間を含む今後5年程度の期間において、各目標が設定され、これを具体化するための論理的かつ実現可能な事業戦略が構築されているかという点です。従って、既に100億円に近い企業の方が有利ということはありません。スタートアップや上場・非上場を問わず、売上が10億円以上であれば、誰もが補助金支給を受けられる可能性がある補助金なのです。
申請枠や計画書作成に迷われた際は、ぜひビジネス・カタリストをはじめとしたシェルパグループにお気軽にお声がけください。
本記事が中小企業成長加速化補助金の理解を深めるうえでお役に立てますと幸いです。
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