去年度に引き続き、今年度もIT導入補助金の公募が行われています。本補助金は、中小企業の業務効率化とデジタル化を後押しする制度であり、特に今年はインボイス制度対応やセキュリティ対策など、現場のニーズに即した公募枠が拡充され、補助率・補助額もさらに魅力的なものとなっています。本記事では、IT導入補助金2025の理解を深め、上手に活用できるよう、制度概要から申請方法、申請時のポイントについてもわかりやすく解説していきます。
詳細や最新の情報は、事務局ホームページを確認するようにしてください。
リンク:IT導入補助金2025
IT導入補助金2025とは

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツールの導入を支援する補助金です。対象となるITツールは事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開されているものとなります(複数社連携IT導入枠を除く)。
補助金申請者(中小企業・小規模事業者等)は、IT導入補助金事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組み、協力して申請することが必要となります。
公募枠について

参照:IT導入補助金2025チラシ(令和7年6月時点版) を参考にして作成
各公募枠について
各公募枠の詳細について、以下で解説していきます。
通常枠
通常枠は、中小企業・小規模事業者等が、働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等に対応するため、生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入費用を支援するための枠です。業種や目的を問わず幅広い事業者が活用することができます。対象となるITツールは、会計ソフトや受発注管理ツール、勤怠・労務管理ツール、営業支援ツール(SFA)、顧客管理ツール(CRM)などで、1~3プロセスに対応する場合は最大150万円未満、4プロセス以上に対応する場合は最大450万円まで補助されます。また、導入支援に伴うコンサル費用、マニュアル作成、研修費などの付帯費用も補助対象です。
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス対応類型は、中小企業・小規模事業者等に、インボイス制度に対応したITツールの導入を強力に推進するため、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用を支援するための枠です。例 えば、インボイス発行可能な会計ソフト、請求書発行システム、電子レジや券売機、モバイルPOSレジ、PC・タブレットなどが対象となります。補助率は通常3/4以内、小規模事業者の場合は最大で4/5に引き上げられます。特に飲食業、小売業、サービス業など現場でインボイス対応が求められる業種にとって、実務的に即効性のある枠といえます。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃リスクへの備えとして、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」に掲載されているセキュリティソリューションの導入を支援する枠です。対象となるのは、セキュリティ診断、ウイルス対策、脅威検知、EDRなど多岐にわたります。
小規模事業者であれば2/3、中小企業は1/2の補助率で、最大150万円の補助が受けられます。これにより、技術的リソースの乏しい中小企業でも、適切なセキュリティ対策を講じることが可能となることを狙っています。
複数社連携枠
複数社連携枠は、商店街や地域団体、中小企業グループなど、複数の事業者が一体となってITツールを導入し、地域経済の底上げを図ることを目的とした枠です。補助対象には、各事業者が導入するITツールの費用のほか、全体の事務費、プロジェクト管理に関わる専門家費、消費動向等分析経費などが含まれます。補助額は最大3,000万円と非常に大規模で、補助率は最大2/3。例えば、観光地の商店街がキャッシュレス決済を導入する場合など、地域全体の利便性と競争力を高める取組に活用されています。
各公募枠の申請締切日
各公募枠の直近の申請締切日は以下の通りです。

2024年度との違いについて

IT導入補助金2025の、前年度からの主な変更点は以下の通りです。
- 補助対象経費や補助率の拡充:
通常枠やインボイス枠(インボイス対応類型)、複数社連携IT導入枠において、IT導入後の活用定着を支援するサポート費用も補助対象に含まれるようになりました。
また、『3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上であることを示した事業者は補助率2/3』という優遇条件が追加となりました。 - セキュリティ対策推進枠の補助拡充:
セキュリティ対策推進枠の補助額が100万円から増額され、150万円になりました。
また、小規模事業者であれば補助率が1/2→2/3に増加する、という要件も追加されました。
申請方法について

IT導入補助金2025の申請方法についてご紹介します。
- 補助金や補助事業についての理解:
公式HPや公募要領を読み込んで事前に情報収集し、本補助金に対する理解を深めます。 - GビズIDの取得・SECURITY ACTION宣言実施:
助金の申請には、事業者本人が「GビズIDプライム」を保有している必要があります。
申請からID取得までは2週間以上かかることがあるため、早めに取得するようにしましょう。
また、交付申請の要件にはGビズIDプライム取得に加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になります。宣言済アカウントID発行までの期間は、おおむね2~3日となっているため、こちらも早めに申し込むようにしましょう。 - 補助金HPでIT導入支援事業者(ITベンダー)を選定:
公式HP内の「ITツール・IT導入支援事業者検索」から、自社に合ったITベンダーを検索し、選定します。ITベンダーは交付申請や効果報告なども代行・サポートしてくれるため、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。 - 交付申請書類の作成と提出:
ITベンダーと協力しながら、必要な情報を入力し、オンラインで交付申請を提出します。
複数社連携IT導入枠については、申請フローや交付決定後の手続きが異なるため、別途詳細を確認するようにしてください。 - 採択通知の受領:
通知前にツールを発注・導入してしまうと補助対象外になるため、必ず通知を受け取ってから次に進みます。 - ITツールの導入と支払い:
事業が適正に行われなかった場合や、実績報告期間中に正しく実績報告が行われなかった
場合、補助金の交付を受けることができないため注意が必要です。
実績報告が提出されるまでにすべてのITツールにおいて「事業」が完了し、ITツールの利用・運用が開始されている必要があります。 - 事業実績報告書の提出:
書類不備があると補助金が支給されない可能性があるため、ITベンダーの支援を受けながら確実に提出するようにしてください。 - 補助金額の確認・承認:
補助事業者は申請マイページから確定検査の結果・補助金交付決定額を確認し、内容に相違がなければ承認を行います。承認にはSMS認証が必要です。 - 事業実施効果の報告:
IT導入後の効果について効果報告をします。定められた期限内に補助事業者が『申請マイページ』より必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を受けてから提出してください。特に賃上げ要件などの数値目標が未達成の場合、補助金の返還を求められるケースもあるため注意が必要です。
IT導入補助金の申請手順は以下の記事でも詳細に解説していますので、併せてご覧ください。

【2025年】中小企業の強力な味方!IT導入補助金活用ガイド
↺2025.07.24
今回は「業務効率化をしたいけど導入するお金がない」「IT導入補助金について詳しく調べる時間もない」という方に向けて、IT導入補助金の活用方法をわかりやすく解説します。
Q&A

IT導入補助金のよくある質問について、以下にQ&A形式で解説していきます。
ITツールは自由に選べますか?
いいえ、IT導入支援事業者が登録した「ITツール」に限られます。登録外のツールは対象外です。
補助金を受け取った後にツールを変更できますか?
交付決定後の変更は原則できません。やむを得ない場合は変更申請が必要で、事務局の承認が必要です。
個人事業主でも申請できますか?
申請可能です。中小企業基本法で定められた条件を満たせば、法人・個人問わず申請することができます。
同一年度内に複数回申請できますか?
できません。原則として1事業者1回までです。ただし、複数社連携枠などでの参加は別枠で扱われる場合があるので、一度事務局に問い合わせてから検討するようにしてください。
ベンダーへの発注はいつすれば良いですか?
必ず事業実施期間内に発注してください。交付決定前に契約・発注すると対象外になります。
補助金の返還を求められるケースは?
要件未達(賃上げ未達、報告未提出など)、虚偽申請、不正使用などが該当します。
まとめ

いかがでしたか?
本記事では、IT導入補助金2025の制度概要や申請方法、申請時のポイントについて解説してきました。
かねてより人気のあるIT導入補助金ですが、2025年度はインボイス対応やセキュリティ強化を含め、多様なニーズに応える制度へとさらに進化しています。本補助金を活用することは、業務のデジタル化や効率化を検討している中小企業にとって、コスト負担を軽減しながら生産性を高める絶好の機会となるでしょう。
申請には事前準備が必須であるため、早めに本補助金についての知識や理解を深め、信頼できるITベンダーと共に申請計画を立てるようにしてください。
申請や事前準備に迷われた際は、ぜひビジネス・カタリストをはじめとしたシェルパグループにお気軽にお声がけください。
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